【環境】『ソ連崩壊は炭素排出の大規模な減少につながった』nature 2019/7/1

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01 JULY 2019
Soviet Union’s collapse led to massive drop in carbon emissions
Quirin Schiermeier
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02024-6

1991年のソビエト連邦の崩壊は、結果として生じた経済危機により多くの人々が肉を食べるのをやめることとなったため、温室効果ガス排出の大幅な減少をもたらした。

家畜の肉は、共産主義統治時代には、その地域の主食であった。1990年には、ソビエト国民は一人当たり年間平均32キロの牛肉を消費していた。これは西ヨーロッパ人の消費量より27%多く、世界平均の4倍に値する。

しかし、この地域の食肉需要と家畜生産は、日用品の価格が急高騰し、ポスト共産主義の経済危機でルーブルの購買力が低下したときに劇的に落ち込んだ。それ以来、ソビエト後期の農耕地の推定3分の1が放棄されている。

旧ソビエト諸国におけるこれらの食料と農業システムの変化は、1992年から2011年までの間に二酸化炭素に換算して76億トンの温室効果ガスの純減をもたらしたと研究者たちは家畜消費と国際貿易に関するデータの分析から見出している(「Soviet shocks」参照)。これは、同じ期間におけるアマゾンの森林伐採によるCO2排出量の4分の1に相当する。ロシアは現在、年間約25億トンの温室効果ガス(CO2換算)を排出している。

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この図は、家畜の国内生産や輸入家畜ならびに、放棄されたソビエトの農地の土壌および植物に固定された炭素から生じる排出量を考慮している。

「ソビエト連邦崩壊後に工業生産と共に排出量も大幅に減少したため、食料の消費と生産について同じことが起こったということも驚くべきことではありません」とオスロの国際気候センター(Center for International Climate Research)の炭素予算専門家であり、この分析には関与していないGlen Petersは述べる。「この研究は、旧ソビエト連邦における炭素取り込みのポテンシャルだけでなく、農業生産が復帰した場合にその炭素が放出されるリスクも浮き彫りにしました」。

今日、畜産は、地球全体における人為的温室効果ガス排出量の14.5%を占めている。牧草地は森林やサバンナを伐採して整備されることが多いため、牛肉は最も排出量が強烈な食品である。

ロシアと中央アジアの食肉消費、特に牛肉と土地利用の変化は、世界中の土地からの温室効果ガス排出量の計算において広く見過ごされている要因であると、ドイツのハレにある農業発展と移行経済のライプニッツ研究所(Leibniz Institute of Agricultural Development in Transition Economies)の研究者Florian Schierhornは述べる。

国際貿易の動向は、食肉消費に関連する排出量が再び増加傾向にあることを示唆している。ロシアは過去10年間で、主に南アメリカから輸出される牛肉の最大の輸出先になっている。

doi: 10.1038/d41586-019-02024-6

References
1. Schierhorn, F. et al. Environ. Res. Lett. 14, 065009 (2019).


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