【環境】『不可能な環境主義者:グリーン団体は夢想的なファンタジーを推進している』USA TODAY 2017//9/7

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最近、地球の友(Friends of the Earth)が、肉の味や触感をそれなりに再現することに成功した最初の食肉代替品であるImpossible Burgerを拒否した例ほど、現代の環境思想と擁護が単純に環境に悪影響となることを示す例を見つけるのは難しい。

牛肉の消費が劇的に増加すると予想される世界では、消費者が実際のものと同等か、それ以上の味と判断する肉の代替製品の開発は、気候変動に対処し、熱帯雨林やその他の生態学的に重要な生息地を保護するための聖杯の一つとなる。農業は人間が環境へ与える影響のうちで、相変わらず突出した要因であり、そのうちでも、畜産は放牧と飼料生産のために、地球に最大の影響を与えている。

肉の代替品には、まだ進むべき長い道のりがあるが、Impossible Burgerは多くの著名なシェフがレストランで提供し始めるほど、十分なところまで近づいている。トリックは、牛肉の色の一部や肉っぽい味を与えるヘムと呼ばれるタンパク質にある。Impossible Foodsは、ダイズ根から酵母にヘム生産遺伝子を付加することによって、動物性フリーのヘムを生産するプロセスを開発した。

しかし、シリコンバレーの新興企業が多くの消費者が受け入れる準備が整っている肉の代替品を開発した瞬間、地球の友は、ヘムを生産する酵母は遺伝子組換えされているという理由で、消費者に健康に悪影響を及ぼす可能性があると主張し、Impossible Foodsに攻撃した。

このようにして生産されたヘムが悪影響を及ぼし得るという実際の証拠は存在しない。しかし、FOEや他のGMOの反対派にとって、証拠の不在は不在の証拠とはならない。また、牛肉の生産と消費に関連する確立された環境と健康へのリスクの文脈の中で、彼らが想起する極めて投機的なリスクが考慮されてはならない。

Impossible Burgerへの環境的な反対は特に例外的なものではない。FOEのような環境団体は、原子力エネルギーや集中的な農業を悪魔のように扱い、都市住宅、インフラ、さらには再生可能エネルギー開発まで阻止するために、同じ戦術を何十年も使ってきた。標的は変わっても戦術は同じだ:投機的あるいは無限小に小さな健康や環境のリスクを同定し、メディアでそれらのリスクを酷く誇張して広め、トレードオフや現在の生産に伴うはるかに大きく単調なリスクを無視し、小規模の代替生産システムの例をチェリーピックし、それを州、地域、国家あるいはグローバルなレベルに飛躍的にあてはめ、トレードオフが存在しないこと、そして環境的に無害なランチが可能であるだけでなく、利益のために我々を毒する悪質な企業のくびきを放棄すれば、すぐにでも手に入るかのようにうたうことだ。

その結果もたらされてきたものは無視できるものではない。反核環境保護主義者が一貫して主張している誇張された原子力事故の恐怖が、ドイツ、日本、そしてカリフォルニアの原子力艦隊を閉鎖する決定に重要な役割を果たしてきたことにより、米国と世界のエネルギー生産のシェアとしてのクリーンエネルギーは20年もの間停滞してきた。環境団体はアフリカに対し、欧州マーケットからの遺伝子組換え食品を禁止しながら、農業分野を近代化するのではなく「適切な技術」―生産性の低いオーガニック農法を意味する―に固執し、かつ森林を農地に転換し野生動物の狩猟を増加させることなく拡大する食糧需要を満たすよう要求してきたため、アフリカは農業効率の上昇に苦労してきている。

しばしばその地元民コミュニティの名を掲げて行われる発展途上国での道路、ダム、大規模な農業への環境団体の反対は、多くの場合、新しいインフラの構築や農業の拡大を阻止してきたわけではない。しかし、環境への影響を最小限に抑えるために不可欠な開発計画を困難にしてきた。一方、NIMBY活動家が、しばしば地方や地域の環境NGOの支援を得た上で、新しい住宅開発を阻止するために環境上の議論を呼び起こすことで、サンフランシスコのような都市は富裕層のヘイヴンになってきた。

環境運動に実践的な部分があるのも疑いないことだ。ネイチャーコンサーバンシーのようなグループは、途上国のインフラ整備を阻止しようとするのではなく、政府ととともに立案するようになってきている。世界自然保護基金(World Wildlife Fund)などのNGOは企業や生産者と協力し、森林伐採地から調達しないなど、環境影響を減らすためにサプライチェーンを改善しようと努めている。環境防衛基金は数年前、シェールガス革命を禁止するのではなく、その影響を最小限に抑えるために大規模な取り組みを開始し、安価な天然ガスが米国の電力部門における炭素排出量の削減に大きな役割を果たしていることを暗に認めている。一部の特定の場所のグリーングループの中には、気候変動に有意味な対処をするために、世界的な排出量を大幅に削減する必要がある世界では、原子力発電所の閉鎖が悪いアイディアであると静かに認めている。

しかし、これらの団体は、よりイデオロギー的な同胞たちの主張や、GMO、工業農業、原子力、炭素捕捉と貯蔵のような疑問に対して管理の姿勢をほとんど見せては来ておらず、現代的な生活を望む、90億人に向かって増加する70億の人々の要求を満たしながら、この惑星の環境を保全するためには、大規模で生産性が高く集中的な食糧とエネルギーシステムが必要であることを認めようとしてはこなかった。その代わりに、環境団体は、人類が直面しているますます増大する環境問題に対処するためには不十分な解決策を促進することに活動の大部分を費やすことを継続しており、多くの場合、これらは実際には問題を悪化させるだけであろう。

生態学的に活気のある惑星を未来の世代に残すためには、近代性と技術との平和を築く準備ができている根本的にに改革された環境運動が必要であり、より不満足で脆弱となる牧歌的なノスタルジアとユートピア的な空想を放棄しなければならない。これは、より多くのImpossible Burgersと、より少ないimpossible environmentalism(不可能な環境主義者)を必要とするだろう。

https://www.usatoday.com/story/opinion/2017/09/07/impossible-environmentalism-does-not-address-sustainability-ted-nordhaus-column/570651001/


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