【認知・心理】『事実、信念、アイデンティティ:科学懐疑主義の種子』phys.org 2017/1/22

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心理学の研究者たちは、知性のある人々を科学的なメッセージに抵抗させる認知プロセス、イデオロギー、文化的要求、陰謀論信仰を理解するための研究に取り組んでいる。研究者は、アンケート、実験、観察研究、メタアナリシスを使用して、科学コミュニケーションの取り組みをより賢く、より効果的にするための、新たな理論的フロンティアを捉え始めている。

「お気に入りの信念(pet beliefs)」の防御

科学に対する懐疑的な見方を持つ人々の目立った特徴の1つは、彼らはしばしば他のものと全く同じように教育を受け、科学に関心を持っているということだ。 問題は彼らが情報に晒されているかどうかではなく、情報がバランスのとれた方法で処理されているかどうかということになる。これは、Matthew Hornsey(クイーンズランド大学)による「弁護士のような考え方」という表現を考えると明確になる。つまり、彼らは「真実であってほしい結論に達するために」情報の一部のみをチェリーピッキング(選択)し、注意を払っているということだ。

【認知】『理性的であることを妨げる12の認知バイアス』io9 2013/1/9

「人々は、宗教的信念、政治的信念、そしてさらにはウェブブラウザの選択が得意であるという個人的な信念まで含めたあらゆる種類の信念を守るために、事実から逃避することを見出しました」とTroy Campbell(オレゴン大学)は語っている。

Dan Kahan(イェール大学)は「供述が、真実に一致するようにというよりむしろ、アイデンティティに一致するような形で証拠を解釈するようになっている。政治観全体にわたり、正当な見識を失った状態にある」という彼らの発見に同意している。

心を変える

気候変動にしても遺伝子組換え作物にしてもワクチンにしても、単に「証拠」や「データ」について語るだけでは、懐疑者の心を変えることは出来ない。人々は彼らの特定の意見を支持する科学と事実は利用し、彼らに同意しないものは軽視する。

【認知・生物】『科学的に安全とされながら、なぜ人々はGMOに反対するのか』Scientific American 2015/8/18

「気候変動から原子力安全、銃規制法の影響に至るまで、社会的なリスクを巡る衝突がある場合、両者は科学をを持ち出す」とKahanは述べている。「私たちの研究では、人々はある事実が自分の意見を支持する傾向にあるときに、その事実をより妥当性が高いものとして扱うことを見出しました」とCampbellは言う。「事実が彼らの意見に反しているときは、必ずしも事実を否定するわけではないが、関連性が低いとみなします」。

Hornseyが最近の研究(American Psychologist, in Press)で述べているように、科学的懐疑主義に対処する1つのアプローチは、根底にある動機や「姿勢の根源」を特定することである。「人々の表面的な態度に直接対処するのではなく、彼らの動機と調和するようにメッセージを調整するのである。例えば、気候変動懐疑論者については、気候変動に関するメッセージで彼らが同意できる点を見つけ出し、気候変動に関するメッセージをこれらの枠組みに合わせるよう調整するのである」。

Kahanの最近の研究は、人間の科学的好奇心のレベルが、科学とのよりオープンな関わりを促進するのに役立つ可能性があることを示している。彼らは、驚くべき発見を楽しむ人々は、自分の政治的信念に反していても、新しい情報に対してよりオープンであることを発見した。Kahanと彼の同僚たちは、彼らの発見は予備的であり、より多くの研究が必要であると指摘している。

Hornsey、Campbell、Kahan、Robbie Sutton(ケント大学)はシンポジウム「Rejection of Science: Fresh Perspectives on the Anti-Enlightenment Movement(科学の拒否:反啓蒙運動の新たな視点)」で研究を発表する予定である。この講演は、SPSPの年次総会で2017年1月21日土曜日に行われる。 1月19から21日にサンアントニオで開催されている会議には、3000人以上の科学者が出席する。

https://phys.org/news/2017-01-facts-beliefs-identity-seeds-science.html

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