Pixie Turner
Foodie, science geek, world traveller, and bookworm
http://www.huffingtonpost.co.uk/pixie-turner/chemical-free-diet-myths_b_7916866.html
化学物質(chemical)とは何だろうか？辞書をさっと引いてみると「化学プロセスによって生成されるか、あるいは化学プロセスに利用される、独立した分子組成を持つ物質」と書いてる。では、化学プロセスとはなんだろう？料理から細胞代謝、そして髪をシャンプーすることほど簡単なものまで、ほとんどすべてが化学的なプロセスである。
だが、多くの人がこの定義に納得しないだろう。そして、純粋に「化学物質」を「悪い」、「人工的な」化学物質という極めて一方的な意味で用いる。しかし、すべての物質、すべてのものが化学物なのである。
「先生、ケミカルフリーダイエットをお勧めしますか？」「餓死したいというのであれば」
化学物質の誤った認識による問題の一部は、「発音できないものは食べるな」というFood Babeのようなものたちの説教から来ている。私はフォアグラや子牛を発音することができるが、だからと言って、それを食べることが倫理的に問題ないということにならない。誰でもDNAと発音できるが、必ずしもデオキシリボ核酸と言えるとは限らない。
リブロース二燐酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(より一般的にはルビスコとして知られている)は、光合成において必須の酵素であり、完全に安全であるが、一回で覚えられたら大したものだ。
すべての「自然由来の」化学物質が安全であるとか、あらゆる「合成」化学物質が危険であるとかいうこともない。さらに、小川からの純水（H2O）を飲んでも、実験室における化学反応の副産物としての純水を飲んでも、あなたの身体はその違いを言い当てることはできない。それらは両方ともH2O、すなわち2つの水素原子に酸素原子が1つ結合したものである。それがH2Oでないなら水ではない。あなたの身体は 「自然探知機」を備えているわけではない。このH2Oがどこから来たかはまったく見当をつけられない。
あなたの身体も、全て化学物質である。より多くの化学物質を作るために化学物質（食品）と反応する化学物質に過ぎない。そう、すべてが化学物質なのだ。
同じことが、あなたがビタミンCとして認識しているかもしれない、E300にも当てはまる。研究室から単離されたE300の分子だろうと、オレンジから単離したビタミンCだろうと、あなたの身体は気にしない。しかし、誰もが単純にE番号＝悪とみなす。名前には力があるが、それが「自然に」聞えないという理由だけで、E番号を恐れてはいけない。
取り乱す前に、私は加工食品が「自然」食品と同じくらい良い、あるいはそれ以上に優れているとは言っているわけではないことに注意してほしい。私は成分、個々の分子について話しているのだ。その違いはとても大きい。下のビデオはこの点を本当にうまく示している：
E番号はヴォルデモートではない。我々は「自然に」聞えなかったり、発音できない名前を恐れながら人生を送るべきではない。代わりに、それらから逃げるのではなくこれらの化学物質が実際に何であるかについて、自分自身を教育すべきなのである。化学物質恐怖症にならず、「ケミカルフリーライフ」を生きているとなどと言い張ったりはしないでほしい。死んでしまうから。
さあ、化学的な酸素なしで数分以上生きて見せてほしい。できっこないでしょう。
自然＝良いもの、合成＝悪というこの誤謬は、誤解の領域を越えて、危険な愚かさの領域に足を踏み入れている。有毒なキノコやヒ素などの「自然な」食べ物や成分がたくさんあるが、それらは間違いなく身体に悪い。多くの代替医療従事者は、ブロッコリーが 「デトックス」に最適であると言うが、それがシアン化アリルと呼ばれる致命的な毒であるシアン化物の一形態を含んでいるためであることをご存じだろうか？あなたがブロッコリーを噛んだとき、その不活性な形態が酵素と接触し、活性化するようになる。するとあなたの肝臓はその余分な部分を「解毒」するため、通常より多く働く必要が生じる。ああ、あなたを殺そうとしている母なる自然の皮肉なこと。
これはもう一つの非常に重要なポイント「量によって毒になる」にうまくつながっている。そう、ブロッコリーにはシアン化物が含まれているが、有毒であるためには多くのブロッコリーを食べなければならない。毎日60本以上のバナナを食べれば、おそらくカリウム中毒で死ねるだろう。水さえも高レベルでは有毒だが、だからと言ってそれを避けるべきだという意味ではない。実際、私は毎日水を飲むことを強くお勧めする。
いつも持ち出される毒性に関する最も良い例は、ワクチン中のホルムアルデヒドだ。ホルムアルデヒドを正しく発音するのは難しくはないだろう。しかし、それが恐ろしくて不自然に聞こえることと、ガンの恐怖があるため、恐れを利用した根拠のない主張の標的になっている。次のことについて考えてみてほしい：ワクチンに含まれるホルムアルデヒドは、梨一つに含まれる量の0.83％である。
わかりやすく言うと、梨一つと同じ量のホルムアルデヒドを摂取するには、120回もワクチンを打つ必要がある。しかし、梨は自然のものであるために、毒性がガンを引き起こすから梨を食べるなと言っている人は見たことがないだろう。それにホルムアルデヒドが呼吸の自然な副生成物であるという事実を付け加えると、そのフレーズがなぜ重要であるのかわかるだろう(なぜ私が反ワクチン主義者を我慢できないかということもであるが、それは全く別の問題だ)。
私が指摘したいのは、発音スキルと化学に関する理解の欠如は、特定の食品や成分を避けるための合理的な理由にはならないということだ。どんなものも化学物質であるし、どんなものも十分大量に摂れば死に至らすこともできる。「ケミカルフリーライフスタイル」というのは響きは素晴らしいが、それはあなたが数秒の寿命しか望まない場合に限る。自然の美しさはすべて化学物質であり、それを化学物質と呼んでも、その印象や見事さが失われるわけでもない。
この記事は、もともと私のブログwww.plantbased-pixie.comに投稿したものだ。私のInstagramもここからフォローすることができる。
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