【認知】『なぜ人はハイになりたいという本能的欲求を持つのか』The Conversation 2016/6/10

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ヘロインやコカインのような、報酬系を直接刺激するドラッグになぜ惹かれるのか説明するのは容易だが、難しいのはLSDやシロシビン(訳注:マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分)などの、異なる意識状態を生み出すサイケデリックドラッグである。

思考や知覚の―毒や病の症状のような―異常なパターンが魅了的に感じられる明確な理由がないのだ。だが、人はそれを経験するためにお金を払うだけでなく、収監されたり、場合によってはさらに悪い状況に陥るリスクまで冒すのだ。一体なぜなのだろう?

【認知】『研究者により、LSDを使用しているときの脳を初めて画像化』IFLScience 2016/4/11

一つの答えは、それらのドラッグが、人類の進化で重要な役割を果たしてきた宗教的で超越的な経験をする近道になるからだ。この発想の裏にある論理は、人類の文化が宗教によってどれほど形作られているかを見ればなおさら明らかだろう。

人類学者は、宗教的な人々は、非宗教的な人々に比べより協力的であると主張してきた。小さな集団にとっては宗教の影響は無視できるほど小さいか、あるいは負の影響を持つが、集団のサイズが大きくなるほど、見知らぬ他者との繋がりを生み出すために重要な役割を果たすようになる。

実際、ある研究では12,000年近く前に誕生した中東最初の都市国家は、人々のすべての行いを監視していると信じられた「巨大な神々」への信仰が可能にしたものであると示唆している。

なぜ宗教が人々をより協調的にするのだろう?一つは道徳的信念である。目に見えないものに絶えず監視されているという信念は、個人的な利益のために規則を破るということを抑止する。この効果は絶大である。正直箱(無人販売箱)に2つの目を描いてあるだけで、飲み物の値段を支払う回数が3倍も増えたという研究もある。

一方で、宗教は人々を彼ら自身よりも大きな世界と結びつける。それは彼らの属する社会集団かもしれないし、死後の世界や、果ては宇宙全体かもしれない。この結びつきは、その結果が利益に直接結びついているとき、人々をより協調的にするため非常に重要である。もし私が自分の部族や教会や宇宙自身と一体であると信じれば、辛い仕事を受け入れることが容易になる。

サイケデリックドラッグの魅力を説明するのは、おそらく宗教的協調性のこの2つ目の側面の方だろう。サイケデリックドラッグは宗教的超越性の影響を刺激することで、人を協調的にすることで進化的利益を果たした精神状態に近い状態を作り出す。これにより、より多くの先祖が進化競争で生き残った。これは、人類がサイケデリックドラッグを使用するために進化したという意味ではない。しかし、サイケデリックドラッグの使用は、超越的状態により手短に達することを可能にした。


法律で人間の本能は変えられない

この話が事実だったとしたら、どんな意味を持つのだろうか?一つはサイケデリックドラッグの使用は、チャンティングやファスティングや祈りや瞑想などと原理的に同じだという事。ピュアリストは、ドラッグにはこのような手続きを含んだ精神的修練を含まないという理由で反対するだろう。確かにそうかもしれないが、車を買うことには、内部の燃焼機関を一から作る作業が含まれないと言っているのと同じことではないだろうか。それに、儀式においてサイコアクティブ(精神作用系の)な物質を使用する宗教も多い。

2つ目に暗示されることは、サイケデリックドラッグは精神状態の改善に効果的な役割を果たすという事だ。すでに、鬱や末期の病に効果があるという確実な結果は得られている。これがすべての人に効くという保証はないが、サイケデリックドラッグが効果を及ぼす人がある程度の割合でいると考える根拠を与える。

【医療・認知】『エクスタシーが5年以内にFDA承認の薬剤として販売される可能性』ScienceAlert 2016/4/3

サイケデリックドラッグを禁止することは恐らく逆効果だろう。性行為を禁止しても性欲を抑えることは出来ないのと同じように、サイケデリックドラッグを法で禁止しても、超越的な経験を求める内在的欲求を変えることは出来ない。賢明な法的アプローチは、害を最小化しながらサイケデリックドラッグを使用できる枠組みを作ることだろう。実際、これまでどんな法体系も人間の本性を変えることには成功していない。サイケデリックドラッグの禁止だけ別として考える理由はない。

http://theconversation.com/why-do-humans-have-an-innate-desire-to-get-high-60671


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