【物理】『新たな証拠により、量子力学の通常の見方が改められる可能性』ScienceAlert 2016/5/24

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新たな証拠は、量子スケールでの粒子の振る舞いに関する我々の理解は非常に、非常に間違ってることを示唆している。

実験が示唆しているのは、ほぼ一世紀前に予見されていた別の見方が、今になって正しいことが判明するかもしれないということだ。気を重くする前に聴いてほしい良いニュースがある。これが正しければ、量子力学は遥かに単純な理解が可能になるのだ。

だがまず言わなければいけないことは、これはまだ一つの研究に過ぎず、標準的な見方が破棄されるまでには、非常に多くの再現と実証が必要となる。だから、まだ手元になる教科書を燃やしてしまってはだめだ、いいかい?よしそれでいい。

ではまず現在の見方を整理しよう。量子力学の最も受け入れがたい(しかし最も重要な)側面は、粒子は測定されるまで確定した位置にいないということだ。

量子物理学者が粒子について語るとき、彼らが語っているのは、その位置の周りにある確率の雲であり、それを記述するものは波動関数として知られる。観測されるやいなや、波動関数は収縮し、その時初めて決まった位置を得る。

その裏にある数学は明確で、科学者はこれを用い量子スケールの粒子を研究することができる。だがそうでない我々にとっては奇妙でしかない。

アルバートアインシュタインでさえ、コペンハーゲン解釈と呼ばれる標準的な見方のこの部分に不満を抱いてた。彼の伝記を書いているアブラハム・パイスはこの会話を覚えている。Quanta Magazine:でダン・フォークが報じたものだ:

「我々は彼の客観的実在性に関する理解についてよく話し合いました。散歩をしていた時、アインシュタインが突然立ち止まり、私の方を向いて、あなたは月は見ている時しか存在していないと本気で信じているのかと尋ねたことを覚えています」

ではなぜコペンハーゲン解釈が標準的な見方となったのだろう?別の見方もあった。それはパイロット波理論や、ボーム力学として知られるもので、粒子は我々が観測しようがしなかろうが、正確な位置を持っているということを主張していた。

たがそれが主流になることはなかった。フォークの説明によれば、理由の一つはその解釈では世界はまた「別の形で奇妙である」ことを意味していたからである。

大きく単純化してしまえば、ボーム的見方の奇妙な部分は、それが非局所性を主張していることである。物体どうしがどれだけ離れていても、基本的に宇宙のすべてのものは、他のあらゆるものに影響を与えうるということである。

これは量子エンタングルメント―または「奇妙な遠隔作用」―の裏にある考えと同じであるが、ボーム力学はそれをさらに推し進め、宇宙全体が、個々の粒子に起こる作用に依存することを示唆している。

【物理】『量子もつれは奇妙だが遠隔作用ではない』ScienceNews 2016/1/27

ボーム的見方に対するとどめの一つは1992年に発表された研究で、これらの法則にしたがう粒子は「シュールレアリズム」と言い表されるほど奇妙な軌道を運動することが主張された。

しかし、それから約25年、カナダの研究者たちはその1992年の論文を無効化し、ボーア力学にはまだ可能性が残されていることを示唆する研究を行った。

その実験とは二重スリットの実験であり、しばしばコペンハーゲン解釈の根拠として用いられるものである。なぜなら、粒子は測定されるまで確定した位置を持たないからである。1992年、これによってもボーム力学は反証された。

しかし、カナダのトロント大学のエフライム・スタインバーグ率いる研究チームは、この実験を実際に行い、結果として―非局所性を考慮することを忘れない限り―ボーア力学でも辻褄が合うことを示した。

彼らはエンタングルした光子の組を用いて実験を行った。これにより、研究者たちは、片方の光子にもう一方の光子が通った経路の情報を「尋問」することができる。

この尋問に対する返答は1992年の研究が予測したよう、「シュール」なものであった。しかしスタインバーグら研究者たちは、これは非局所性を取り入れない場合のみ問題があるにすぎないという。フォークがQuantaで説明しているよう「1つめの光子が遠くへ飛べば飛ぶほど、2つめの光子の報告の信頼性が落ちました。理由は非局所性です。2つの光子はエンタングルしているため、1つめの光子の取る経路が2つめの光子の偏光に影響を与えるからです…

問題はボーム軌道がシュールなことではなく、二つ目の光子がボーム軌道がシュールであると報告することです。そして非局所性のために、その報告は信頼する必要はありません、とスタインバーグは語っています」。

結果はScience Advancesで発表されており、これが確証されれば、我々の量子力学に関する理解を大きく揺るがすことになる―そして、より理解しやすいものになる可能性がある。

「量子力学を理解するためにすべきことは、自分自身にこう言いきかせることです:粒子について語っているとき、我々は本当に粒子について語っているのだ、と。そうすれば問題はみんな解決される。物には位置がある。それらはどこかにはあるのです」とゴールドスタインはフォークに語った。

「これは教科書に書かれているものより、遥かにシンプルな量子力学のバージョンです」と彼は付け加えた。

http://www.sciencealert.com/new-evidence-could-totally-break-our-understanding-of-quantum-mechanics


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