【物理・Tech】『ドイツの巨大核融合装置、初めて水素プラズマを生成』ScienceAlert 2016/2/4

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ドイツは、その種で最大の核融合装置であるヴェンデルシュタイン 7-X(W7X)により、初めて水素プラズマを生成し、持続させることに成功した。

なぜこれが大きな意味を持つのだろうか?水素プラズマの生成は、クリーンな、核融合という太陽と同じプロセスによる無尽蔵のエネルギーの生成のカギとなるからだ。もし制御された核融合が達成されれば、文字通り世界を変えることとなる。なぜなら、核融合施設はより安価で、より効率的で、より持続的なエネルギー源となり、化石燃料と取って代わられるからだ

「これは非常にクリーンな電力源です。可能な限りもっともクリーンなのです。我々はこの研究を我々自身のために行ってるのではありません。我々の子供や孫たちのためです」と研究チームの一人でKarlsruhe Institute of Technologyの物理学者であるJohn Jelonnekは、Associated Pressにそう語った。

これまでの核施設が行っている核分裂反応は、原子核をより小さな中性子と核に分離することでエネルギーを生成している。核分裂は非常に効率的で、それにより同じ質量から放出されるエネルギーの量は、石炭と比べて何百万倍にもなるが、放射性廃棄物の非常に注意深い(そして予算のかかる)管理が要求される。

一方で核融合は原子が超高温で融合された際に巨大なエネルギーを生成するが、放射性廃棄物や、その他の不要な副産物を排出しない。

その上、核融合というのは、我々の太陽を45億年前から燃やし続けている。つまり、もし我々がそれを利用することができるようになれば、人類はこれまで存在してきたのと同じくらいの長さの時間にわたり、エネルギーを確保できることになるのだ。だだこの「もし」というのは本当にもしものはなしである。なぜなら、科学者たちはこの研究に60年以上取り組んできたが、いまだにいくつかの重要な障害と格闘しているからだ。

制御された核融合の実現に関する多くの問題のうちの一つは、実際に太陽内部の条件を再現する必要があることだ。よって、1億℃のプラズマガスの球体を生成し操作することが可能な装置を建設しなければいけない。

11月にさかのぼると、ドイツのマックス・プランク研究所のプラズマ物理研究所は、初めて1億ドル規模のステラレータ(核融合実験装置)に電源を入れ、超高温のヘリウムプラズマの小さな塊を生成することに成功した。ステラレータによって持続するプラズマガスが生成されることが示されたのは、これが初めてであった。

ヘリウムは概念実証として大きなものであったが、水素であればより大きなエネルギーを放出できる。だが同時に加熱するのがはるかに難しくなる。

だが研究チームは今日、2メガワットのマイクロ波放射を用いて4分の1秒の間、水素ガスを8000万℃まで加熱することができたと報告した。大したことではないように思われるかもしれないが、改めて言うとこれは概念実証なのだ。そして研究チームは1億℃基準までもっていくことと、それにより生成されるプラズマをより長い時間持続することが可能であろうと述べている。

「水素プラズマによる実験は、カーボン保護タイルと不純物の除去のためのダイバータが原子炉容器の内部に実装される3月まで続きます。その時点で、マイクロ波プラズマ加熱力は20メガワットまで上昇させられ、プラズマを30秒ほど維持できるようになります」とAlexander HellemansはSpectrum IEEEに向けて報じている。

チームはこのW-Xステラレータは核融合によって実際に利用可能な量のエネルギーを生成する目的で設計されたものではなく、役割はそれが可能であることを証明することであると述べている。「2019年に開始するW-Xの後期段階では、重水素を利用し核融合を行います。しかし、現在より多くのエネルギーを得られるほどの量は用いません」とチームの一員であるHans-Stephan BoschはHellemansに語った。また、三重水素を用いる計画はないと付け加えた。

この世界をウォッチしておこう。非常にエキサイティングな時間だからだ。いま、W-Xは、フランスにある巨大核融合反応装置であり、同じく融合を実現するほど長い時間プラズマを保持することに成功しているITERと公式に競い合っている。3月に何が起こるか待ちきれない。

http://www.sciencealert.com/germany-s-massive-nuclear-fusion-machine-just-produced-its-first-hydrogen-plasma


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