【生物】『ダーウィンの進化論とはどういうものか』LiveScience 2015/5/13

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1859年ダーウィンの著書『種の起源』で初めて定式化された自然淘汰による進化の理論は、生物が遺伝的な身体的形質または行動形質の変化により、時間と共に変化していくプロセスである。ある生物の環境への適応に有利となる変化は、生存を助け子孫を多く残す助けとなる。

自然淘汰による進化は、古生物学、地質学、遺伝学、発生生物学など幅広い分野からの証拠に支持された、科学の中でも歴史で最も実証された理論の一つである。

ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館のキュレーターであるブライアン・リッチモンドは、この理論には2つの主要な点があるという。「地球上のすべての生物は互いにつながっています」そして、生命のこの多様性は「ある形質や環境が別のものに比べ有利となる自然淘汰による集団の変異」によって生み出される。と語る。

さらに単純化して言えば、この理論は「変化を伴う系統」と記述できると語るのは、人類の起源を専門とする人類学者でワシントンのスミソニアン国立自然史博物館のエデュケーターであるブリアナ・ポビナーだ。

この理論はしばしば「適者生存」と記述されることがあるが、これは誤解を招くとポビナーは言う。ここでの「適者」とは、生物の強さや身体的能力を指すのではなく、生存と生殖の能力を意味するのだ。


クジラの起源


1859年の「種の起源」の第一版において、チャールズ・ダーウィンは自然淘汰がどのようにして陸上哺乳類をクジラに変えたのか推測した。1つの仮説として、口を開けて水の中を泳ぎ虫を捕まえることが知られている北米黒クマを持ち出した。

「自然選択によって、クマの身体構造や習慣がより水生に適したものになり、口も大きくなって、クジラさながらの怪物に近付くことは容易に想像できる」と彼は推測している。

このアイディアは嘲笑され、それ以降の版では削除された。

今日、科学者たちはダーウィンの発想は正しかったが、選んだ動物が間違いだったことを理解している。彼はクマではなくウシやカバを調べるべきだったのだ。クジラの起源については、進化の最も魅力的な話の一つであり、自然淘汰の最適な例の一つとなっている。


自然淘汰


クジラの起源を理解するためには、自然淘汰がどう働くのかについての基本的な理解が必要となる。自然淘汰は種を少しずつ変化させることができ、何世代も経るうちに集団の色や大きさが変わっていく。これは「小進化(microevolution)と呼ばれる。」

しかし、自然淘汰にはもっと大きなことが出来る。十分な時間と変化の蓄積があれば、全く新たな種を生み出すことが出来る。これは「大進化(macroevolution)」として知られる。これによって恐竜が鳥に、両生哺乳類がクジラに、そしてサルの祖先をヒトに変えられることが出来る。

クジラの例をとれば、進化論をガイドにし、自然淘汰がどう働くか理解することで、生物学者たちは、初期のクジラの陸から水中への移行が予測可能なステップを経て起きたことを知ることが出来た。例えば(クジラの)噴水孔の進化は次のようにして起こっただろう:

ランダムな遺伝的変異により、少なくとも一頭のクジラの鼻の孔をその頭の上の位置に下げた。彼らは呼吸するために水面に完全に顔を出す必要がなくなったため、この適応を有するものは、水生のライフスタイルに適していただろう。このような個体は、より生存に成功し多くの子孫を持っただろう。後の世代では、より多くの遺伝的変異が起き、鼻をより後頭部に向けて鼻を移動した。

初期のクジラの他の部分も変異していった。前脚は足ひれになり、後脚は姿を消した。体型はより流線型になり、水中での推進が容易になるよう尾びれのかかりを発展させた。

ダーウィンは、性淘汰として知られる配偶者の誘因の成功に依存する自然淘汰の形も説明した。孔雀の鮮やかな羽や雄鹿の枝角は、この種の淘汰の下に進化した形質の例である。

しかし、ダーウィンは進化の理論を発展させた最初の科学者でも唯一の科学者でもない。フランスの生物学者ジャン=バティスト・ラマルクは、いくつかの点で誤りであったものの、生物の形質は子孫に受け継がれるというアイディアを生み出した。そしてダーウィンと同時期に、英国の生物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスも独立に、自然淘汰による進化の理論を考え出していた。


現代の理解


ダーウィンは遺伝学については何も知らなかった。ポビナーは「彼は進化のパターンを観察していたが、実際のメカニズムについては知らなかった」と語っている。遺伝子がどのように異なる生物学的形質や行動形質をエンコードし、どのように親から子孫に受け継がれるかという発見はその後に行われる。遺伝学とダーウィンの理論の結合は「現代進化の総合説」として知られる。

自然淘汰を可能にする身体的および行動の変化は、DNAや遺伝子のレベルで起こる。このような変化は、突然変異と呼ばれている。 「基本的には突然変異が進化の作用する原料である」とポビナーは言う。

突然変異はDNAの複製や修復の際のランダムなエラーや、化学物質や放射線による損傷によって生じる。ほとんどの場合、突然変異は有害であるか中立となる。しかし、稀に生物によって有益となる場合がある。その場合、それは次世代で頻度を増し集団に広まっていく。

このようにして、有益な変異を保存し加え、有害なものを取り除きながら、自然淘汰は進化のプロセスを導いていく。「突然変異はランダムであるが、その選択はランダムではない」とポビナーは説明する。

しかし、自然淘汰は進化の唯一のメカニズムではないと彼女は言う。例えば、遺伝子流動として知られる遺伝がある集団から別の集団に移動する現象がある。また、ある遺伝子の頻度がランダムに変動する遺伝的浮動と呼ばれるものもある。

(遺伝子の水平転移による具体的例はコチラコチラなど)


豊富な証拠


科学者たちは初期のクジラがどのような姿をしていたか予測することは出来たが、その主張をバックアップする化石証拠が欠けていた。創造論者たちはこれを進化が起こっていないことの証拠として受け取った。彼らは歩くクジラが存在したなどと言うアイディアを嘲笑した。しかし、1990年代初期からまさに探していたものが見つかり始めた。

決定的な証拠の断片が得られたのは1994年、古生物学者たちはアンブロケトゥス(Ambulocetus natans)の化石を発見した。それは「泳ぎ、歩くクジラ」という意味の名を持つ生き物だ。その前肢には指や小さなひづめがあるが、その後足は身体の大きさに比べ巨大であった。これは明らかに泳ぐのに適応していた、しかしそれはまた、アザラシのように陸上をぎこちなく移動することが可能であった。

その古代の生物は、後肢で押し返し、背や尾で波打たせるカワウソのような泳ぎかたをしていた。

現代のクジラは力強い水平のかぎ型の尾びれによって水中を推進する。しかし、アンブロケトゥスはまだ鞭状の尾を持っており、推進力は主に脚の力で得ていた。

近年、このような移行化石もしくは「ミッシングリンク」が次々と発見されており、ダーウィンの理論のさらなる支持をもたらしているとリッチモンドは言う。

関連;【生物】『進化論を支持する4つの有名な移行化石』Forbes 2015/11/17


論争


化石記録や遺伝学、そして他の科学分野からの豊富な証拠にも関わらず、いまだにその正当性を疑っているものたちがいる。一部の政治家や宗教指導者たちはその理論を非難し、生物の複雑な世界、特に人類の存在を説明するために、高度なデザイナーの存在に訴えている。

教育委員会はインテリジェントデザインや創造論のような考えと一緒にして進化論を教えるべきではないかと議論している。

主流な科学者たちは論争など存在しないと考えている。「多くの人は深い宗教信仰を抱いていながら、進化を受け入れている」とポビナーは語る。「そこには完全な和解が可能である」とも付け加えた。

進化は、様々な種における変異の多くの例によって支持されており、今日みられる生物の多様性をもたらしている。「もし進化や自然淘汰より優れた説明を実証できるのなら、新たなダーウィンになれるだろう」とリッチモンドは語った。

http://www.livescience.com/474-controversy-evolution-works.html

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【生物】『リチャード・ドーキンス:なぜダーウィンは重要なのか』The Guardian 2008/2/9




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