
Ecological properties of nature reserve areas can now be analyzed by laser scanning
自然保全区域は単純に指定するだけでは十分でなく、環境状態の定期的なモニタリングが不可欠である。自然保全区域はすでにEUの1/15の面積をカバーしているため、その広大なエリアを、従来のように歩いて点検作業を行うのは不可能になっている。
よって、ヨーロッパの自然保全区域を上空からモニタリングする新たな方法が開発されている。
短いレーザーパルスを地上に送り、反射する光信号から状態の情報を精巧なコンピューターアルゴリズムを通して解析する。
上空からのレーザースキャニング
Norbert Pfeifer教授(ウィーン工科大学)は「自然保護区域ネットワークNatura 2000(EUの自然保護区域ネットワーク)は、保護区域の保全状態の評価を少なくとも6年に1度行うよう要求している。これは、遠隔測定の助けがなければ達成できない」と語る。
飛行機は500から2000メートル上空を飛び、300から800メートル区切りでスキャンしていく。1秒間に50万回ほどの赤外線パルスを用いて1平方メートルごとに約10点をサンプルする。パルスは反射され、飛行機に戻る。その時間から地上との正確な距離が計算され、地形の詳細な3Dマップが形成される。
構造分析のソフトウェア
「我々のチームはこのデータを用いて、植物のタイプの違いを識別する特殊な分類ソフトを開発した。」とNorbert Pfeiferは言う。雑草や車の軌跡などのかく乱要因も識別できる。
レーザーパルスによる3Dマップは単純な航空写真よりとても多くの情報を含んでいる。森がスキャンされると、木のてっぺんですべてのレーザー光が反射されず、低層の植物も同様に調査される。環境的に健康な森林地帯は、多種の木々からだけでなく、ハーブや芝などの層からも形成される。それらの亜高木レベルの層が存在しているかどうかも、赤外線データから数学的に演繹される。
Norbert Pfeiferによると「環境モニタリングのために遠隔測定を用いると、一般に容易に得られる特殊なパラメータに焦点を当てがちであるが、我々のアプローチは全く異なる。我々はデータを環境学者による人為的な調査で得られたのと全く同じパラメータを計算するために用いる」。それにより、データはEUの規定に沿っており、直接古いデータと比較することが出来る。
新たな方式の力により、さらなるステップも可能であろう。「土地の調査のパラメータフォーカスせず、上空から容易に得られる新たなパラメータの定義を行うことで、区域の生物多様性のよりよい特性分析さえも可能になると我々は信じてる」
ヒトとコンピュータの一致
新たに開発されたコンピュータアルゴリズムは、塩水草原、黄土草原、沼地からなる入り組んだモザイク状の地形になっているÁgota-puszta, Püspökladány(ハンガリー)の自然保護区域でテストされた。フィールドデータの一部をアルゴリズムの調整に用い、残りのデータで方式の検証をした。「80から90%の精度で現地観測でのデータとの一致を達成した。これは大きな成功である。これは、2人の別の人間が同じ区域を評価した場合に期待されるのと同程度の一致である。」とNorbert Pfeifer.
「この研究は遠隔測定と生態保護コミュニティとのギャップを埋める大きな前進である。我々はNatura 2000による保護状況を地域生態学者たちに開発された方式に従い遠隔測定することで、モニターできることを示した。」とAndrás Zlinszky (Centre for Ecological Research, ハンガリー)は語った。
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150414100958.htm
この記事へのコメント